現在SNSで、野菜入りの手作り石鹸が話題になっています。
私たちの世代(30代)だと、茶のしずく石鹸事件の影響で食物成分入りの石鹸に対して警戒感のある方も多いと思いますが、もう事件から15年が経過して風化しかかっているところでもあります。
今回の記事ではまず、茶のしずく石鹸事件の概要に触れてから、手作り石鹸の持つ危険な側面について書いていきたいと思います。
茶のしずく石鹸事件
2004年から2010年まで販売されていた旧「茶のしずく石鹼」で多くの人が小麦アレルギーを発症した事件です。(現在は原因となった成分を取り除いた新「茶のしずく石鹸」が販売されています。)

当時大々的にCMが打たれていて、真矢みきの「諦めないで」というCMが私も強く印象に残っています。
お茶の石鹸でなんで小麦アレルギーなの?と思った方もいると思いますが、アレルギーの原因となったのはお茶ではなく成分として含まれていた加水分解コムギ末(グルパール19S)だったことが明らかとなっています。
石鹸は食べ物ではないのになぜアレルギーが起こったかというと、皮膚のバリア機能が弱っている部分から小麦の成分が侵入したからです。侵入した小麦の成分はまず眼や鼻などの局所でアレルギー反応を起こし、その後に蕁麻疹などの全身症状を発現させました。
この「症状が局所から始まる」というのが普通の食物アレルギーでは珍しいこと、そして被害者のほとんどが成人女性であることから調査が始まり、茶のしずく石鹸が原因であると突き止められたそうです。
元々は小麦アレルギーを持っていなかった人が食べ物ではなく石鹸からアレルギーを発症するというなんてことは当時考えられていなかったので、原因が分かるまで石鹸を使い続けてより症状が重篤となってしまった方もいたようです。
痛ましい事件ですが、この事件をきっかけにアレルギーの発症と皮膚炎の関係性についての研究が進んだというのも事実で、新生児期からの赤ちゃんの保湿がアトピー性皮膚炎の予防につながることもこの後明らかになっています。
手作り石鹸の危険な側面①食物成分を肌から吸収してしまう恐れがある
というわけで、手作り石鹸の危険な側面の一つ目は、配合した食べ物の成分を皮膚から吸収してしまう恐れがあることです。
今まで普通に食べていてアレルギーが出なかった食品でも、皮膚からの取り込みを繰り返すうちにアレルギーを発症してしまうというのが恐ろしい点です。
そして茶のしずく事件では化粧品として認可されていたことから原因の究明が比較的早く進みましたが、そうでない手作り石鹸であれば原因究明は大変となることでしょう。(そもそもこういった事例があることを使っている側が知らなければ、原因の候補にも挙がらないでしょう。)
手作り石鹸の危険な側面②体に使うための品質の保証ができない
これは石鹸を自作するというよりも、ほかの人が作った手作り石鹸を買うときの問題です。
メルカリで「手作り石鹸」と調べると、大体はメーカーが手作り石鹸として販売しているものが出品されているのですが、たまに自分で作った石鹸を販売している人も見受けられます。

これ、商品ページに「化粧品」として顔や体に使うかのような表記を入れた場合は薬機法違反になります。
自作の化粧品を他人に向けて販売する基準はすごく厳しく、個人であろうと企業と同じような管理体制が求められるため素人が気軽に売るというのは不可能です。(メルカリの出品禁止リストにも、許可なく製造された手作りの化粧品類が挙げられています)
ちなみにソープフラワーなど「雑貨」としての石鹸の販売は可能です。
実は洗濯用、台所用石鹸も「雑貨」扱いになるので、この名称を用いて通販サイトで販売している作家さんがいます。(本来どちらも成分の規定があるため結構なグレーゾーンだと個人的には思っています。)
ハンドメイド専門の通販サイトで手作り石鹸を調べてみると、どんなに体に優しそうな石鹸であっても「こちらの石鹸は雑貨として販売しています」「化粧石鹸ではなく台所用雑貨品のため、化粧品・医薬品・医薬部外品のいずれにも該当しません」「ご使用に際しましては、ご購入者自身の判断、自己責任においてお願いします」の薬機法を逃れるための3点セットが大体書いてあります。
なんでこんな法律があるかというと、人体に影響を与えるものについて有効性と安全性を確保するためです。化粧品だとピンと来なくても、医薬品もこの法律の範疇というと伝わりやすいでしょうか。
万が一何か起こった時も、作っている場所や原料、責任者についての情報が行政に届け出られているため原因を追究することができるようにしてあるわけです。
正直な話、食物由来成分の入った石鹸を使っても皮膚トラブルがなければアレルギーを起こさない人がほとんどですし、きちんとした手順で作ってあれば体に害を及ぼすことは少ないでしょう。
しかし「きちんとした手順」というものが曲者で、例えば苛性ソーダを使って石鹸を作った場合、石鹸を作った後にしっかり時間が置かれていれば苛性ソーダは残らないのですが、苛性ソーダの量が多かったり熟成期間が短かったりすると人体に使うにはアルカリ性の強すぎる石鹸が出来上がっていしまいます。
手作りだと出来上がりを保証することができないし、何かあった時に責任も取れないので、体や顔に使う石鹸を他人に販売したり無料で譲ったりすることが禁止されているというわけです。

マッサージ用のアーモンドオイルや大豆成分を使用した化粧水でアレルギーを発症した疑いのある例についても報告されています。
何となく、食べ物由来だと体に優しいとイメージしがちですが、顔や体に使う製品はきちんと化粧品として認可されたものを使いましょう!



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